何が幸せかを考えるのは早い方がいい

 公園に、桜を見に行った。

 日当りの良い場所はもう散りかけている枝もあったけど、綺麗だった。

 シートを敷いて花見をしている人たちも何組かいた。


 その中に、ひと際でかいシートを広げている若者の集団がいた。

 たくさんの酒や料理を用意し、これから宴が始まる感じ。

 僕が見ている間にも、車が来て、荷物を降ろしていた。

 男性も女性も、子供もいる。学生時代からの、地元の友だちだろう。


 僕は、この土地に縁もゆかりも無い。

 会社に住めと言われて住んでいる。

 ここには4年前に来たけど、その前は全く別の土地にいた。

 だから、ああいう感じで休日に過ごせる知り合いは近くにいない。


 何が幸せかを考える。

 僕はそれなりの会社に入って、それなりに生きているとは思う。

 でも、彼らみたいな時間は過ごせない。

 僕は長い時間電車に乗って、残業して、クタクタになって帰る。

 彼らは通勤が短いか、自営だっているだろう(店のロゴが入ったトラックも停まっていた)。

 夜の6時7時には家に帰って、家族で夕飯を食べているのかもしれない。


 僕も地元の企業に就職していれば、ああいう生き方ができたのだろうか。

 高校時代に所属していた部活の繋がりで、ソコソコ人脈はあった。

 既に社会人の人たちとも一緒に遊んでいた。

 だから、僕も就職して地元に帰ったら、あのコミュニティに参加していたんだろう。

 車で10分ぐらいの通勤で、夜になると集まって、季節のイベントには率先して参加する。


 後悔はしていない。

 むしろ、幸せだと思ってる。

 でも、違う生き方があったとも思う。

 だから、今進路に悩んでいる人たちにはそういうことも考えて欲しい。

 高校生なら、どの大学に行くか。大学生なら、何処に就職するか。

 就職は、選んでる場合じゃないのかもしれないけど。

 でも、その中でも、自分が何を幸せと思うかは考えておいた方が絶対にいい。


 仕事なのか、家族なのか、趣味なのか。

 お金なのか、生きがいなのか、楽しさなのか。

 選択できる時期は、実は意外に短い。

 今の僕にはもう選べない。

 まだ選べる人たちは、もう一度よく考えてみて欲しい。何が幸せかを。