たった一つのするべきことを、僕の母親はした

配偶者がうつ病になったときにあなたがする、たった一つのこと、それは病院へ行くこと。病院へいって担当医とあうこと。

配偶者がうつ病になったときにするべき、たった一つのこと - 鰤端末鉄野菜 Brittys Wake

 
 配偶者ではないが、僕の父親も一昨年うつ病になり、最近ようやく回復してきた。

 僕の両親は、一昨年から姉夫婦と二世帯住宅に住んでいる。姉夫婦の、というか旦那さんの家。本来旦那さんのお母さんとお姉さんのためのものだった(お父さんは姉と結婚する前に他界された)けど、お母さんは早くに亡くなり、お姉さんも(本人曰く予想外の)ご結婚されて家を出たため、空き家になっていたのだ。

 この家に住み始めてしばらくして、父親はおかしくなった。姉夫婦の家に行くには僕の住居から電車で半日かかるため、僕がそれをはっきり認識したのはだいぶ後だった。出張に絡めて初めて両親の新居に入った僕が見たのは、これまで見た事が無いほど衰えた父親の姿だった。

 ショックだった。動揺した。それまで両親の事をあまり気にかけていなかった自分を恥じた。それから、うつ病について自分なりに調べ、機会があればなるべく両親の所へ行くようにしたが、距離的な限界は当然あった。

 その時、母親はあたり前のように父親に付き添い病院へ行き、担当医と良く話し合っていた。処方される薬全ての名前を控え、いつ何を何錠飲むかを確認し、その通りに父親に与えた。父親に何を言われても明るく接し、家の事一切を引き受けていた。

 姉はうつ病に理解が無く、本人がだらしないだけとか病院はお金のために必要ない薬で薬漬けにするから行かなくていいとか母親に吹き込んだ。でも母親は頑なに病院を信じ、通院と投薬を続けた(僕はそれを支持した)。

 だから結論として、父親の回復は母親によるところが大きい…全てと言ってもいい。それがあらゆる事例に当てはまる訳じゃないだろうが、少なくとも僕の父親はそうだった。